天気痛と東洋医学の世界
前回は天気痛(気象病)について、西洋医学の観点からお話ししました。
ですので、今回は鍼灸の世界、東洋医学の観点からお話していきたいと思います。
★気候の変化と6つの邪気★
東洋医学では、外部から影響を与える気候の変化を、
季節により、風(ふう)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・寒(かん)・火(か)(熱)、と6つに分類し、
これらを六気(ろっき、りっき)と呼びます。
そして、その六気が激しく変化をし、身体に悪影響与を及ぼし病気の原因となるものに
「邪気」の「邪」をつけて、
風邪(ふうじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・火邪(かじゃ)(熱邪)と呼び、
合わせて六淫(ろくいん、りくいん)と言います。
これらは単体で、又は複合的に影響して体の不調を引き起こしています。
★東洋医学からみた天気痛★
天気痛の原因としては、六淫のうち「湿邪」が一番の原因と考えられています。
天気痛が現れやすい梅雨や台風の時期は雨が多いことから、過剰な湿気による「湿邪」が体調不良を引き起こします。
湿邪が体に影響をして、全身の水の巡りが悪くなり、症状を引き起こしているとされています。
また、「風邪」は年間を通して現れ、他の邪気と合体してしまうことが多く、湿邪と合わさることで体内の水の巡りをさらに悪化させます。
この状態を「水滞」と呼びます。
「水滞」になると、頭痛、頭重感、めまい、頻尿、膀胱炎、手足の冷え、むくみや重だるさなどが見られます。
また、胃腸は「湿邪」に侵されやすく、水が滞った状態になると、胃もたれや食欲不振などの消化器症状も見られます。
★鍼灸治療における天気痛★
東洋医学では「不通則痛(ふつうそくつう)」という考え方があります。
通らなければ痛みが出るという意味です。
私たちの体は気・血・津液(しんえき)(水)というエネルギーがあり、それが常に体を循環していることで健康が維持されており、
この流れが滞ることにより痛みが生じると考えます。
ですので、鍼灸治療では体の「水」の流れを良くするように、関係するツボを使ったり、また、コリのある所に鍼やお灸をしていきます。
例えば、おへそから指一本分上のところに有名な“水分”というツボがあります。
ここは水分代謝を促し、水はけを良くする働きがあり、代表的な天気痛の症状である頭痛や立ち眩みの改善によく使われるツボです。
セルフケアにもお勧めです。押したり揉んでみたりしてみてください。
または、せんねん灸のような台座の付いたお灸であれば手軽で簡単に出来るのでこちらもぜひおススメします。
全身のむくみ対策にも有効です。